私は鍼灸師の仕事をしていて「地域医療連携」にはとても興味があります。次世代を担う医療者のための地域医療実践読本(幻冬舎)を読みました。この本は在宅医療にかかわる医師の立場で書かれた本でとても勉強になりましたので自分の勉強のため印象に残った個所の内容をまとめて感想を述べていきたいと思います。

(1)かかりつけ医(総合診療医)の役割

患者自身が自分で受けたい医療機関を選べることをフリーアクセス制度と言い良い部分もあるのですが社会の高齢化に伴って病人が増え、内臓にも運動器にも感覚器にも様々な場所に不調が出てくる年代になると患者自身が決めれないことも多くなります。そこで道案内役のかかりつけ医(総合診療医)の役割が大きくなります。

患者にとって理想的な医療とは「あの診療所に行けばいつでも診てもらえる」、「何かあったら早期に見つけてもらえる」といったアクセスの利便性が第一で疾患への対応が難しければ専門機関を紹介してもらえるなどのフォローがあることが望ましいです。

かかりつけ医と病院の役割分担を考えてみましょう。病院では高度な診断機能と治療設備を備え、広い地域から患者を受け入れ専門的な診察・医療を行います。一方、診療所では前述のように時間的にも空間的にも患者と近いため、生活や社会とともに歩むことも求められます。1、病院医療の延長として高度な医療、2、高齢者や重傷者の病院では対応できない医療、3、患者のニーズに対応する医療を行います。

(2)患者の多様なニーズの中の「日常的医療」

総合診療医はジェネラリスト。総合的に判断しなくてはいけません。(対義語として専門家のスペシャリスト。)そして総合診療医はかかりつけ医でありプライマリケアの実践を目指す医療機関です。(類義語として二次医療の意味のセカンダリーケア、三次医療のターシャリーケアがある)プライマリケア医は外来診療において患者と他年月を共有します。日々の環境の中に学びやヒントがたくさんあります。患者の社会的・家庭的・人格的背景に応じたアプローチが必要になってきます。ちなみに著者の先生の外来心得は以下です。

・誰が見てもわかる外来所見を見逃さない

・画像は大切なコミュニケーション手段

・太っている患者に「痩せろ」と言わない

がんや認知症などの小さな変化にも対応できるように心がけているそうです。総合診療医は「責任のあるガイド」と考えていて責任領域は以下のように考えているそうです。

・がん(重病)を見逃さない

・認知症のエキスパートになる

・フレイルの人々を守る

・介護・終末医療の支援

(3)この本を読んでの感想・鍼灸師が何をできるか?

私が鍼灸師として日々仕事をしているのは病気ではないけど健康にも不安がある「半病人」の領域が多くかかりつけ医もまだない人が多い。鍼灸師はかかりつけ医・総合診療医の役割や病院と診療所の連携など全体図を理解したうえで自分の立ち位置を理解し、いかに地域の方々のサポートができるか?考えるのが良いのではないか。と思いました。

スムーズに地域の診療所を紹介できるようにするのもよいし、かかりつけ医がない人に対して積極的にかかりつけ医を持つよう働きかける「啓蒙運動」ができるのではないか。いろいろ考えて実践していきたいと思います。

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