EBM(Evidence Based Medicine)の話など。

僕は鍼灸という「補完代替医療」

を生業にしているが

それらにかかわっているからこそ

現代医学を学ぶことが

とても大切と考えている。

医療大麻などでも必ず極端なこと

を言い出す人がいるが

ある程度補完代替医療にも

科学的で客観的視点は必要だと思う。

鍼灸の学校ではなかなか

論文の読み方や現代医学、

EBMのことを細かく教わる時間がない。

先日、鍼灸師向け勉強会で

そのようなお話を

させてもらったのでその資料を

以下に少し公開する。

<本日言いたいこと>

医師の先生や現代医学を否定せずに

リスペクトしよう。

その上で我々鍼灸師が何をできるか?

一緒に考えていきましょう。

まずは現代医学的な考え方を学び

歩み寄ることが大切。

1、医学と医療の違いについて

医学:客観的データに基づいて

再現性と客観性を重視しながら

生物学的な「ヒト」

という集団を対象に

研究を行う学問。

医療:臨床家が診療と

ケアの観点に基づいて、

患者の期待に添えるように主観的で

個人差を考慮しながら

「人間」という個人を

対象に治療を行う行為。

★カンノビノイドの科学

(築地書館)

医学は科学である。

しかし、医療は科学でない。

ただEBMは限りなく

科学に近づくことができる。

(医師は)科学になり得ない

医療において、

常に百点満点の医療提供を求められる

宿命を背負っている。

(診療拒否できない)

★日医ニュース第910号

(平成11年)

→ 東洋医学などの伝統医療や

ハーブ療法、鍼灸は医学でしょうか?

科学化できますか?

もともと経験から発展したために

完全には難しい。

が医療連携をする上での

「共通言語として」・「ある程度は」

科学化する必要があると

考えています。

2、現代医学の考え方であるEBM

ガイドラインについて

(1)EBMとは?

1991 年にカナダのガヤット

という研究者が提唱した後、

世界中に広がりました。

「最善の根拠」(統計)を基に、

それに

「臨床家の専門性

(熟練、技能など)」、

「患者の希望・価値観」、

「(個々の)臨床の状況」

を考え合わせて、

より良い医療を目指そうとするもの。

★MindsHPより 中山 健夫、2014

『健康・医療の情報を読み解く

――健康情報学への招待 〈第 2 版〉』

丸善

 

(2)ガイドラインとは?

専門家集団によって作成された

診療に役だてるための一つの推奨

(recommendation)であり、

できる限りエビデンスに基づいて

作成されたとしても

それ自体はエビデンス

そのものではない。

良くあるEBMの誤解

「EBMは患者を診ないで

データを見ている。」、

「EBMは正しい・間違っている」

など。

全て誤解。

EBMとは単に方法論のこと。

介入方法や解釈がよい・悪いはある。

エビデンスとEBMの混同。

EBMは「個別性」も大事にしている。

★医療におけるナラティブとエビデンス

(遠見書房)

★森ノ宮医療学園HP「

EBMとエビデンスは違います」より

 

3、EBMが生まれる前

EBM が生まれる前、

医療の「根拠」は、病気の起こり方や

薬の効く理由といった医学研究や、

臨床家の経験が中心でした。

しかし、理論的には効くはずの薬でも、

実際は効果がなかったり、

副作用が生じたりする場合もあります。

臨床家が「これが良い」

と自信を持っていても、

それは患者さん全体からみると一部の、

偏ったケースの経験からの

考えかもしれません。

パターナリズムの問題もある。

★中山 健夫2014

『健康・医療の情報を読み解く――

健康情報学への招待 〈第 2 版〉』丸善

 

4、ランダム比較試験とは?

研究の対象者をランダムに

2つのグループに分け

(ランダム化)、

一方には評価しようとしている治療や

予防のための介入を行い(介入群)、

もう片方には介入群と異なる治療

(従来から行われている治療など)

を行います(対照群)。

無作為化比較試験ともいいます。

一定期間後に病気の罹患率・死亡率、

生存率などを比較し、

介入の効果を検証します。

例えば、特定のがんXの再発を

予防する効果があるとされる

薬剤について調べたい時には、

従来の治療に加え薬剤を投与する介入群と、

従来の治療のみを行う対照群の

再発率を比較し、

対照群に比べて介入群で

再発率が低くなれば

薬剤に効果があることが証明されます。

新しいがんの治療は、

通常、ランダム化比較試験によって

有効性が証明されることによって

標準治療となります。

ランダム化比較試験は、

疫学研究の手法のうち、

病気とその要因の関係を証明するために、

治療や予防に関する要因を変化させる

「介入研究」の方法のひとつです

★国立がん研究センターがん情報サービス

「ランダム化比較試験とは?」より

 

5、鍼灸はあくまでも物理療法。

シャム鍼(接触鍼)と

鍼を比べることが正しいか?

ツボを一定にできるのか?

測定方法の問題は?

ハーブと同様、刺激にばらつきは?

RCTでよい結果が出ないことも多い。

すべて科学化することは

そもそも無理がある。

鍼灸の臨床試験は?

お金は誰が出す?

限界がある。

★補完代替医療のエビデンス

(医師薬出版)

山下仁先生「鍼灸のエビデンス」より

矢野忠先生 臨床鍼灸研究の現状─

コクラン ライブラリーを参照として

より

6、まとめ

現代医学がどのような理屈で

動いているのか?

学び、考えることはとても大事。

補える存在を目指しましょう。

EBMとNBMは対立する概念ではありません。

(1)RCT的な発想は確率論。

第一選択(通常医療)として

優れていることが多い。

(2)EBMが成立した時期や

年代を考えると比較的若い医師・

薬剤師の先生はEBM重視のことが多い。

どの先生にも論文ベース、

エビデンスベースの話が

通用するわけではないです。

(人による)

(3)それでも鍼灸の論文は

とてもたくさん!

(柔道整復などはほとんどない)

有効活用するほうが絶対によい。

共通言語としての「科学」を意識。

「鍼灸のエビデンス」も学んでおくとよい

(前述 山下仁先生の記事は必見)

(4)EBM的な考え方は大切。

自分で判断ができるようになる。

論理的思考が身につく。

・・・ほかにも「医療モデル」や

ケアモデル

の話をさせてもらいました。

長くなるのでこの辺で。